豊田章一郎氏とITS Japan

2023年2月14日、トヨタ自動車名誉会長の豊田章一郎氏が亡くなりました。

氏の自動車業界における功績は言うまでもありません。自動車業界だけでなく、例えば名古屋グランパスエイトの社長や愛地万博の会長など、地域のため、国のために様々な分野でご活躍されました。

章一郎氏は、ITS Japanという団体の会長も永く勤められました。2009年の退任後は、名誉会長となられてITSの普及・発展に尽くされ、ITS Japanのサイトでも、その訃報を伝えています。

ITS Japanというのは、わが国のITSの発展・普及を支援する団体です。2023年2月8日付の会員一覧によれば、ITSの関連企業161社、ITS-TEAなどの関連団体19、賛助会員として大学等が58、地方自治体などの特別会員が19。現在の会長はトヨタ自動車の元副社長佐々木眞一氏と、そうそうたる顔ぶれです。

そのサイトには色々と書いてありますが、ITS Japanの一番大きな役割は、民間側で、ITS業界を代表する存在、ということです。
よくある、「官民連携で〇〇の実用化を進める」などというとき、それがITS関連だった場合に、”民”の代表がITS Japanというわけですね。

特にITSというのは、官側の事情がとても複雑ですので、民間側で一枚岩にまとめてきちんと対峙する存在が必要になります。

例えば、自動運転を例にとりますと、それをクルマとみれば国交省自動車局の管轄ですし、AIとみれば経済産業省です。自動運転車が走りやすい道を作るのは国交省道路局の役目ですし、道交法などの法律整備は警察庁となります。自動運転の状況を無線通信を使ってモニタしたいとなれば、総務省の出番ですし、最近はデジタル庁なんてのも出来ました。

こうした多くの省庁を相手に、民間側のITSに関する将来展望だとか、具体的な要望などを”官”に打ち上げるのがITS Japanなのです。