レベル4自動運転車の認可

2023年3月31日、国交省と経産省は、国内初のレベル4自動運転車が認可されたことを公表しました。

レベル4自動運転というのは、あらかじめ決められた条件の下では何かあっても自動で停車出来る、すなわち運転者を必要としない自動運転のことです。

この認可は、道路運送車両法が改訂されレベル4の自動運転車の認可基準が定められたこと、そして、それをもとに、道路交通法がそうした車両の運行基準を定めたことによります。(4月1日施行)

認可されたのは、福井県永平寺町でこれまで実証試験されてきた車両です。公共交通機関の発達していない地域の住民の足として、いわばコミュニティバスの進化型として運行されています。
発表によれば最高速度は12km/h。ヤマハ製の電動カートを改造したもので、永平寺町内の約2kmの区間を運行するようです。

自動運転といえば、高速道路などで走る高級車のイメージが強いですが、これはかなり質素なものに見えます。
とはいえ、LIDAR(レーザー光線により周囲状況を検知するセンサ)や数台のカメラを備え、さらに現在地を知るためのGPS受信機や遠隔監視等のための通信機など、多くの装置が搭載されています。おそらく、元の電動カードの値段より搭載されている機器の方がコストがかかっているでしょう。

自動運転車に関しては、ISO(International Organization for Standardization)というところで、様々な技術基準が議論され、定められつつあります。

道路運送車両法では、それら議論を先取りする形で、”自動運行装置”についての規定を盛り込んだのです。

道路運送車両法の条文(41条第2項)によれば、

自動運行装置とは、認知・予測・判断・操作の全部を代替する機能を有するもの

道路運送車両法の条文(41条第2項)

とされています。
よく、クルマの運転の基本は認知・判断・操作と言いますが、判断の部分をさらに細かく分けて、予測に少し重きを置いたようです。

この永平寺の自動運転車両は、時速12km/hということで、ISOですでに安全基準が決められているLSAD(Low Speed Automated Driving)という範疇に入り(ISOでは32km/h以下)と思われ、技術基準としてのハードルも多少は低かったのかもしれません。

それでも、本当に運転者無しで公道を走らせるには、相当の検証が必要だったでしょう。
見かけは、雨風しのぐにも苦労しそうなゴルフカートで、しかものんびり2kmほど走るだけですが、歴史に残る1台になるかもしれません。